巻き狩りが成り立たないほど、銃所持者が減りつつある地域に住んでいます。
年齢構成からいって、20年後には銃所持者は半減している可能性が高いです。
罠のみの捕獲では限界があり、銃器は鳥獣管理に必要な道具という視点で、銃所持者を増やす方法を妄想してみました。
他の業界の例として、オートバイを考えてみます。
大型免許が教習所で取れることになり、1980年代のブームや、それを見ていた世代がオートバイに戻ってきています。
子育てが一段落した世代に多いイメージ。
これと同じようなことが、銃でもできないか。
ライフルの10年規制の根拠は、銃刀法 第五条の二 第4項1号の「継続して十年以上第四条第一項第一号の規定による猟銃の所持の許可を受けている者」の部分です。
この「継続して」を「通算して」に変えるのはどうだろう。
例えば自動車の2種免許の場合は、経験年数は継続してではなく、通算してとなっています。
調理師免許も同様。
今の日本において、通算ではなく「継続して十年以上」という条件がある資格や免許などは、どれだけあるのだろうか。
過去に散弾銃を所持していて、諸事情で手放したものの、再びライフル所持を目指す人がどれだけいるのか分かりませんが、それなりのニーズはありそうです。
例えば 子育てが一段落して趣味を始めようとする40~50歳台の人とか。
銃を少しでも減らしたい警察庁としては、基本、許可が多くなるような改正には反対するでしょうけど…
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ライフル10年規制については、昭和41年の銃刀法改正でなされました。
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律 ( 昭和41年 6月 7日法律第80号 )
http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewKaisei.do;jsessionid=F99D0EEFFD97EB948C0FEAF48475EE6F?i=MqWEm1EhTTHW5WymHFJO%2bw%3d%3d
当時の国会の記録を見てみます。
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51-参-地方行政委員会-16号 昭和41年04月12日
昭和四十一年四月十二日(火曜日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/051/0320/05104120320016a.html
政府委員(今竹義一君)
昨年来、神奈川県及び東京都の渋谷でライフル乱射事件という事件が発生いたしました。その被疑者の少年は満十八歳になったばかりで、猟銃を二丁許可を得て所持をしているという事件が発生したわけであります。
その事件にかんがみまして、そういう心身の未熟な少年に猟銃というような強力なものを持たせることはいかがであろうかということを検討いたしまして、狩猟免許も二十歳というもとになっておりますので、それとの関連を考えて、二十歳ということにいたしたわけでございます。
その効果がどうであるかということでございますが、端的に申しまして、それによってもうだいじょうぶだということにはならないかと思いますが、少なくとも、二十歳未満というような少年の者に持さないというだけでも効果があろうかと、かように考えております。
政府委員(今竹義一君)
また先般のライフル少年事件、十八歳になったとたんに猟銃の所持許可を受けて二丁も持っておって、たいへんな事故を起こしたというような経験にもかんがみまして、かつまた狩猟免許の年令が二十歳でございますので、特に威力の強い猟銃については、心身の発達の未成熟な二十歳未満の者には所持許可をしないほうがいいのではないか、かように考えた次第であります。
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51 - 参 - 地方行政委員会 - 17号
昭和41年04月14日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/051/0320/05104140320017a.html
政府委員(今竹義一君)
未成年者の場合に、ほかの者が所持許可を受けておる銃を使って犯罪をやったというのがかなり多いことは事実でございます。
しかし猟銃のように非常に危険の高いものについて、二十歳未満の者にこれを所持許可を与えることはどうか。
現にライフル少年の事件のような例もございますし、また狩猟免許も二十歳になっておる。
こういうこともあわせて考えて、特に威力の強い猟銃については三十歳未満の者には所持許可をいたさない、こういうふうに考えたわけでございます。
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↑引用ここまで
当時は猟銃の所持は18歳からでしたが、銃を使った事件などを受けて、20歳に引き上げられ、ライフルは継続して10年の実績が必要になりました。
このような国会の委員会で審議された銃刀法改正(案)自体が、どうやって作られたのかが知りたい。
おそらく、公式の記録としては文書の保存期限も過ぎているので、残っていないと思う。
国会図書館で全猟などの古い雑誌を見れば、そのへんの経緯が書かれているものが見つかるかもしれない。
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昭和41年ごろ銃規制に影響を与えた事件
・少年ライフル魔事件 1965年(昭和40年)7月29日
この事件の影響から、銃規制の流れが強くなり、銃の所持許可が18歳から20歳へ、ライフルが10年以上の所持許可が必要になりました。
姉名義でライフルを買い、少年が使っていたなど、今から考えると緩すぎる扱いです。
銃砲店の防犯状況や、無許可譲受の個数も変わりました。
その後の銃を使った事件
1968年(昭和43年)金嬉老事件(ホーワカービン)
1970年(昭和45年)よど号ハイジャック事件 爆弾、拳銃など
1970年(昭和45年)瀬戸内シージャック事件(銃砲店から奪ったライフル)
1971年(昭和46年)栃木県の真岡銃砲店襲撃事件。のちに連合赤軍によるあさま山荘事件
過激派や、銃を使った犯罪を考える青年がいた時代から、すでに50年近く経っています。
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法律や通達は時代によって変わるものです。
道路交通法でいえば、1992年11月までは車に中速車などの分類があり、制限速度が指定されていました。
高速道路のバイクや軽自動車の制限速度も、平成12年までは80km/hでした。
罠免許については、2015年に18歳に引き下げられました。
近年だと2007年の佐世保事件などがありますし、車と同じく、銃を使った犯罪も、完全なゼロにするのは難しいです。
しかし、その対策としてライフル10年というのは、どうなんでしょうか。
自動車でも高齢者の更新では認知症検査が追加されましたが、○歳になったら運転免許停止とはならないです。
一律に年数で縛ることが、事故や犯罪の防止に効果がある仕組みなのか。
所持や更新時の診断書の提出や、毎年4月の銃検査で、言動のおかしい人はチェックできないものか。
個別の施策の効果を判別するのは難しいですが、過去の通達の変化で、事故率はどのように変化してきたのだろうか。
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昭和41年の地方行政委員会では「特に威力の強い猟銃については三十歳未満の者には所持許可をいたさない」と述べています。
ならば、30歳以上にまで「継続して10年」を適用する意味はあるのか?
銃を扱う技量や心構えが問題になるのであれば、過去の使用実績や技能検定、精神科医の診断などでふるいにかければよいのであって、一律10年という縛りは疑問です。
10年縛りという銃刀法をを正面から変更するのは困難なので、鳥獣被害対策実施隊や認定鳥獣捕獲等事業者によるライフル所持の特例が追加されたと推測します。
これにしても、今まで何例が許可されたのか?
(関連記事:特措法によるライフル所持はありえるのか)
特措法の成立は平成19年12月でしたが、平成26年までの許可数はたった2件でした。
法律的には可能かもしれませんが、通達や運用の部分でハードルが高ければ、絵に描いた餅にすぎません。
そのへんも含め、法律や通達に突っ込みを入れていく事は必要かと思います。
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