2019年5月22日水曜日

本:肉弾


 ヒグマによる人間への襲撃、流れ星銀河的な捨て犬、親子関係をあわせた小説。
 映画「ザ・ワイルド」の雰囲気もある。

 自ら好きで狩猟をやっている主人公ではないので、いまいち感情移入がしにくい。

 文字のみで自然やアクションを描写するのは難しい。
 まして、読者が行ったことが無い場所ならなおさら。

 以下、気になった点をいくつか。
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 親がライフル、息子がエアライフルという組み合わせだが、そのペアでわざわざ北海道まで狩猟に行くかな?

 P30で牧草地でエゾシカを狙うが、PCPエアライフルでも、どこまで近づいたら致命傷を与えられるのやら……

 親はヒグマを狙いに行くが、わざわざ国立公園や鳥獣保護区に入って違法にやらなくても、銃猟可能な地区にいるだろうに。
 何年も北海道に行っているのなら、ガイドに頼む手段もある。

P93> そもそも遠距離用に整えられた装備が接近戦で強い訳ではない。至近距離で弾が飛び散る散弾銃のほうがまだ相応しかった。

 ヒグマ相手では「飛び散る」ような散弾ではなく、スラッグ弾では。
 あまり興味が無いまま、親に薦められてエアライフルを所持したから、知識は曖昧という設定かもしれませんが。


P222> 上着のポケットに入れておいたファイヤスターターを、背後の焚き火に投げ入れた。

 想像になるのですが、粉にせず、長方形の個体のまま焚き火に投げ入れても、劇的な反応は起きないのでは。


P227
 チワワが枝から枝へと飛び上がり登っていく。
 いや、チワワじゃ無理だろ。
 そもそも普通の犬でも厳しいと思う。

P228
 頭から落下。
 いくら極限状況でも、頭から落ちるリスクをとるか?
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 道路まで脱出するのにどれぐらいかかるのか不明ですが、それを急がず、熊と戦う選択肢を選ぶまでの心理描写が薄く、主人公の行動に感情移入できません。
 親とうまくいっていなかったら、なおのこと、遺体を置いて逃げれば良かったのでは?
 自力で逃げられないのなら、大きな焚き火をして救助を待つでもいい。

 そして、反撃する方向だったら、なぜ木を削った槍をもっと作らない。
 その辺の主人公の行動にモヤっとして、いまいち没入して読めませんでした。

 機会があったら漫画の「流れ星銀河」を読み返してみたくなった。


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