2017年7月11日火曜日

10年未満でライフルを所持する方法を考える

 ライフル所持の許可については、大きく分けると以下の種類があると思います。

1. 日本ライフル射撃協会で標的射撃の推薦受ける。
銃刀法 法第五条の二第四項第二号
ライフル射撃競技に参加する選手又はその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者

銃刀法施行令 第十五条)
(ライフル銃の所持が許可される射撃競技選手に係るライフル射撃競技等)
第十五条  法第五条の二第四項第二号 の政令で定めるライフル射撃競技は、日本体育協会又はその加盟競技団体が主催して行う運動競技会のライフル射撃競技とする。

http://www.riflesports.jp/member/process/process_recommend/

 エアライフルの段位をとり、装薬銃の申請をするなどの手続きを踏めば、持てる可能性はあります。
 しかし、あくまで標的射撃のためであって、狩猟や有害鳥獣駆除では使えません。
 実猟や駆除で使うことを考えていますので、ここでは掘り下げないことにします。

 推薦を受けて標的射撃用のライフルを持ち、10年以降に狩猟・有害を用途に加えることはできるのだろうか?

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2. 10年以上の散弾銃所持
銃刀法 法第五条の二第四項第一号)

 通常の手続きなので省略。
 県によっては10年経っても申請を受け付けないとか、狩猟者登録の実績が必要などを求め、門前払いするという噂もあります。

 「継続して十年以上第四条第一項第一号の規定による猟銃の所持の許可を受けている者」とあるので、狩猟の実績は問われないと思いますが…
 ここでいう「猟銃」とは、銃刀法の用語としての銃であって、実際に狩猟に使うなどの意味はないと思います。

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3. ライフル銃による獣類の捕獲(殺傷を含む。以下同じ。)を職業とする者
銃刀法、法第五条の二第四項第一号)

 いわゆるマタギ的な人ですね。
 なにをもって「職業」とするのか、ちょっと曖昧です。

 10年未満の人が「俺は職業として猟師をやっていく」と決めた場合、どの段階で申請すれば認められるのでしょうか?

 岐阜の某団体の人は、猟師を職業としていると言ってもいいと思いますが、サボット銃のサベージを使っています。
 ライフルは持てないのでしょうか?
 もしくはあと数年なのでサボットで十分?


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4. 事業に対する被害を防止するため
(銃刀法 法第五条の二第四項第一号)
 この内訳として3パターンあります。

(4-1) 農林水産業等を営み、又はこれに従事する者であって、獣類による被害を受け、又は受けるおそれがあるもので、その被害を防止するためライフル銃による獣類の捕獲を必要とするもの

 こちらの通達に、許可について具体的に書いてあります。
 事業に対する被害を防止するためのライフル銃の所持許可について(通達)
 警察庁丁保発第29号 平成27年1月30日

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 ・事業とは
 通達には「申請者の行う農林水産業等に係る事業に対する獣類による被害について明らかにするため」とあります。
 被害の証明を市町村に書いてもらう必要があります。

 ・防除措置
 申請には防除措置等が講じられていることを明らかにする写真などを提出する必要があります。
 農地であれば電気柵、林地であれば防護ネットなどを設置し、罠や散弾銃での防除措置をしている上で被害があることを説明しなくてはいけません。

 ・ライフルが使えるエリア
 ある程度山林面積がある自治体で、ライフルによる有害鳥獣駆除を認めていないと、許可が出ません。
 許可の範囲は、市町村単位とすることを原則としているようです。


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(4-2) 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年法律第134号)第9条第1項の規定により市町村に設置された鳥獣被害対策実施隊の鳥獣被害対策実施隊員

鳥獣被害防止特措法について
http://www.maff.go.jp/tohoku/seisan/tyozyu/tokusoho/index.html
> 実施隊員であれば、銃刀法に規定する「事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類の捕獲を必要とする者」に該当し、散弾銃の所持経験が10年未満でも、ライフル銃の所持許可を受けることができます。

 以前は銃を役場に預けるなどなっていましたが、平成27年1月30日の警察庁丁保発第30号で自宅保管になりました。

 出し入れの簿冊をつけるなど、通常の猟銃の許可より厳しくなっています。
 当然のことですが、実施隊員に任命されなくなった場合は、ライフルの所持許可も取り消されます。

>許可をする場合には、銃刀法第4条第2項の規定に基づき当該ライフル銃を使用(携帯、運搬及び発射)できる場合を、実施隊の活動として当該実施隊の設置された市町村における有害鳥獣駆除に従事する場合又は修理等正当な理由に基づく場合に限定するなど、実施隊による鳥獣の捕獲等の実態に合わせた条件を付すこと。


鳥獣被害対策実施隊としての許可の場合、実施隊としての活動でしか、ライフルは使えないと思われます。
 狩猟はもちろん、有害鳥獣駆除や管理捕獲などでもライフルは使えないと推測します。

 別の記事にもまとめました。(特措法によるライフル所持はありえるのか

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(4-3) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第18条の2の規定による認定を受けた鳥獣捕獲等事業者の捕獲従事者


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 牧場主や林業経営者であっても、積極的に狩猟免許をとり、ライフルを持ちたいと思う人であるとは限りません。

 山村部に住んでいて狩猟免許と銃を持っている人が、早くライフルを所持し、地域の有害鳥獣駆除で使えるような落とし所に持っていければ良いのですが…

 環境省の平成26年度の統計資料年齢別狩猟免状交付状況」によると、60歳以上の狩猟者は全国で65%になります。
 新規参入もあるでしょうが、20年後には狩猟者が半分になる可能性もあります。
 環境省ではニホンジカ、イノシシについて、当面の目標として、平成35年度までに個体数を半減させることを目指すことにしています。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/attach/pdf/suisin_kaigi-7.pdf


 捕獲数を上げるのであれば、農家さんの罠免許取得を増やした方が効果があるかもしれません。
 しかし、罠免許の場合、免許を返上する人もいます。
地方自治体は狩猟者減少時代をどう乗り越えればよいのか?」によると、平均狩猟従事年数は銃で40年、罠で9.2年となっています。

 ライフル所持が、鹿被害防止の解決策になるかどうかは、統計的・学問的な裏付けがありません。
 狩猟方法にもよりますが、「ライフルだったら獲れたのに」と思うことは個人的にはあります。

 毎日見回りにいけるという事さえクリアできれば、罠の方が捕獲効率が良いですが、その反面、山奥や罠が仕掛けられない場所では、銃が必要ですし、散弾銃よりライフルの方が確実性はあります。
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 全くの個人的意見ですが、ライフル所持が早まれば、10年未満の銃所持者の捕獲数底上げには繋がるでしょうし、早めに持てるという希望があれば、銃猟を辞める人が、少しでも減るのではと思います。
 ただ銃を持ちたいという人を弾く意味で、有害鳥獣捕獲に限っての使用や、実績を求められても良いです。

 シャープシューティングを実行できるような高い技術を持ったハンターは、高山帯や狩猟者が行きにくい地域などでの個体数調整のため、一定数が必要です。

 現状の法令では、まず10年経験を積み、それからライフルを持たないと、高度な技術を必要とされる捕獲現場では戦力にならないかと思います。
(標的射撃のライフル所持で経験を積んだり、サボット銃でやるという方法もありますが)

 技術の高いハンター(カラー)を育てる分母を増やす上でも、ライフル所持者はそれなりの数が必要なのではないでしょうか。

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