2017年1月14日土曜日

残滓処理の法令

 単独猟で山奥に入る場合、獲物全体ではなく、肉だけ回収して持って帰ってくる場合がありえます。
 残滓(ざんし)処理の法令を、改めて調べてみました。
(2017年1月現在)
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鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO088.html

(鳥獣の放置等の禁止)
第十八条   鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をした者は、適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合として環境省令で定める場合を除き、当該捕獲等又は採取等をした場所に、当該鳥獣又は鳥類の卵を放置してはならない。

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 法18条では「放置」を禁止しています。
 しかし「適切な処理」とは何なのか。

 細かい部分は環境省令(施行規則)で定めています。
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鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14F18001000028.html

(適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合)
第十九条   法第十八条の環境省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一   地形、地質、積雪その他の捕獲等又は採取等をした者の責めに帰すことができない要因により、捕獲等をした鳥獣又は採取等をした鳥類の卵を持ち帰ることが困難で、かつ、これらを生態系に大きな影響を与えない方法で埋めることが困難であると認められる場合

二   過失がなくて捕獲等をした鳥獣の行方を確知することができない場合

三   法第十三条第一項の規定により捕獲等をした鳥獣又は採取等をした鳥類の卵を農地又は林地に放置する場合

四   漁業活動に伴って意図せず捕獲等をした鳥獣を、当該捕獲等をした場所で放出する場合
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> 地形、地質、積雪その他の捕獲等又は採取等をした者の責めに帰すことができない要因により、捕獲等をした鳥獣又は採取等をした鳥類の卵を持ち帰ることが困難で、かつ、これらを生態系に大きな影響を与えない方法で埋めることが困難であると認められる場合

 この文章が曖昧で読みにくいです。
 「その他の捕獲等又は採取等をした者の責めに帰すことができない要因」は、どの範囲まで含まれるのか、ちゃんと定義されていません。
 林道まで歩いて30分ぐらいの場合は、「持ち帰ることが困難」と言えるのか?

 その場合、「生態系に大きな影響を与えない方法で埋める」のは、「適切な処理」と言えるのか。

 以下の「基本指針」は有害鳥獣捕獲に限って書かれていますが、「やむを得ない場合は生態系に影響を与えないような適切な方法で埋設することにより適切に処理し、山野に放置することのないよう」とされています。
 一般狩猟についても、同様と考えてよいのでしょうか。
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http://www.env.go.jp/council/former2013/13wild/y133-02/ref05.pdf
「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本指針」(平成十四年環境省告示第八十六号)抜粋
鳥獣保護事業計画の作成に関する事項
第四 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可(有害鳥獣捕獲に係るものに限る。)に関する事項

 捕獲物又は採取物の処理等

 捕獲物等の処理方法については、申請の際に明らかにするよう指導するものとする。また、捕獲物等は、鉛中毒事故等の問題を引き起こすことのないよう、原則として持ち帰ることとし、やむを得ない場合は生態系に影響を与えないような適切な方法で埋設することにより適切に処理し、山野に放置することのないよう指導するものとする。

(適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合として規則第 19 条で定められた場合を除く。)
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 廃棄物処理法についての言及がなされているサイトもあります。

http://www.town.esashi.hokkaido.jp/contents/ezoshika/
 北海道の枝幸町の例。
>鳥獣保護法上、捕獲したエゾシカは、原則「持ち帰り」、やむを得ず持ち帰りが困難な場合など「埋設」による処理が可能となっています。
>そのため、持ち帰りが可能な捕獲物は、自家消費あるいは一般廃棄物として適切に処分されることが必要で、埋設することは鳥獣保護法上認められず、廃棄物処理法第16条の不法投棄となるおそれがあります。

>また、大量に埋設した結果、水質汚濁、悪臭などの生活環境の保全上支障が生じ、または生じるおそれがあると認められる事態となった場合は、廃棄物処理法第19条の4の規定に基づく措置命令の対象となるおそれがあります。
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廃棄物の処理及び清掃に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html
(定義)
第二条   この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

(投棄禁止)
第十六条   何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46SE300.html

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 全体を通してみると、解釈に幅がある法令通達と感じます。
 残滓を放置していて警察沙汰になった事例もあります。
 クマの生息する地域では、残滓がクマの餌になるという問題もあります。

 野生生物の命の扱い、獲ったからには肉としての有効利用したいなど、心理的にデリケートな問題を含みますし、法律や通達の解釈に幅があるので難しいです。

 何はともあれ、環境に与える影響が少なく、他人に迷惑のかからないような処理を心がけましょう。
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 微妙に関連して
 宮崎学さんの写真集「死」
 残滓は何ヶ月ぐらいで分解されるのだろうか?

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