2018年12月8日土曜日

弾頭鋳造してみた

 電気ポットと鋳型が揃ったので、弾頭を鋳造してみました。
 家族と近隣住民が居ない日に、ベランダで実施。

 Lee公式のヘルプビデオ
https://leeprecision.com/bullet-casting-help-videos.html





リローダーのFortuneCookie45LCさんの鋳造のコツ動画
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【用意した物】
 Lee電気ポット(4-20)

 温度計(Brownells)40ドル
  付属のクリップで留めるが、使用前にポットに合うように変形させる必要がある。
  垂直にすると緩くなったので、アルミホイルで温度計を太くして調整。
  天ぷら油と同じく、新たな鉛を入れると温度が下がるので、温度計があったほうが良い。
  非接触の温度計が使えないかと妄想していた時期があるが、実際には作業が忙しく、使っている余裕が無い。
  溶けた鉛の表面の色から推測するなどの方法もあるが、初心者ならアナログ温度計はあった方がいい

 鋳型は3種類
  Lee 7/8oz
  ロシア製Lyman525互換、プラグ2つ付き(Lymanより直径が微妙に小さいらしい)
  ロシア製ミニライマン鋳型

 鉛
 ティンアロイで購入したもの。
 チップは追加しやすくて便利だった。
http://www.tin-alloy.com/shopdetail/000000000372

 100円ショップで購入したもの
  木の柄のスプーン(掻き混ぜる)
  たこ焼き用おたま(鉛を追加する)
  油かす取り(表面の軽いゴミ(dorss ドロス)を除去する)
  シェラカップっぽい器(鉛を流す際に受け止める、インゴットを作る)

 菓子缶に古タオルを敷いたもの
  完成した弾頭を出す。
  鉛は水で急冷すると硬くなるが、今回は鉛の変形を期待するので、ゆっくり自然に冷やす

 ラジオペンチ、ペンチ
  熱い弾頭を拾う、鉛を跳ねないようそっと追加する、針金で注ぎ口をつつくなどに使う。

 軽トラの荷台マット
  ベランダでの作業なので、床の保護のため。
  新品ではなく、破れた物を以前貰って、デッキバンに敷いていた。
  ゴムシートは熱の影響を受けず、かなり役立った。
  コンクリや砂利敷ならば不要。

 ベビーパウダーと筆
  鋳型からの離れをよくするために付けた。
  ほんのわずかで良い。
  ベビーパウダーは300円ぐらい、筆は化粧用で100円ショップで入手。
  型離れを良くするのは、煤をつけるやり方や、シリコンスプレーでも良いという説がある。

 鋳型を叩く棒。
  叩く音がうるさいのと、軽すぎた。
  後にゴムハンマーにした。100円ショップで入手。

 要らない鍋
  以前、カセットコンロで溶かそうとして挫折したもの。
  鉛インゴットを入れてある容器として使った。

 マイナスドライバー
  鉛の出るスピードを調整するロッドをひねるのに使う
 プラスドライバー
  Lee7/8のスプループレートが緩むので、増し締めで使った。

 グレイン表示の出来る精密デジタル秤
  以前購入した中国製。1080円(2018年12月現在のモデルは1205円

 Amazonの藁半紙っぽい包装紙
  弾頭の選別の敷き紙として使う
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【作業時の注意・服装】
 鉛が跳ねたり、鋳型に触れ、火傷する可能性がある。
 鋳型はなかなか冷えない。
 長袖長ズボン、足首の出ない靴など、肌の露出が無いようにする。
 手首周りも要注意。
 服の素材は化繊ではなく、熱に強い綿が良い。

 革手袋は操作性が良い、普通の厚さでよい。
 1分前に取り出した弾頭を拾うぐらいでは、熱さが伝わらない。

 気化した鉛は有毒なので、しっかりと密着する粉塵マスクをすること。
 裸眼の人は保護ゴーグルがあったほうが安心。

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【作業行程】
 まずは電気ポットに鉛を入れて溶かす。
 温度設定は最大にすること。
(これを忘れてしばらく時間がかかりました)

 ある程度溶けると接触面積が増えて、インゴットが溶けやすくなる。

 620°Fで鉛が溶け、鋳造に良い温度は650~700°F
 気温15~20度の場合、安定する温度は3~4の目盛り。
 それ以上になると表面が黄金色になり、できた弾頭に霜がついたようになる。
 低い温度で鋳造すると、表面に皺ができる。

 心配していた臭いや煙だが、溶け始めは少し出るものの、初めに溶け切ってしまえば、それほど出てこない。

 鋳型からの離れが良いよう、ベビーパウダーをはたく。

 鉛の温度が冷えないよう、注ぎ口の近くに鋳型を置き、レバーを下げる。
(注ぎ口が見える高さに電気ポットを置くと、作業しやすい)

 初めの数回は鋳型が暖まっていないので、うまく鋳造されない。
 失敗した弾頭は、適当なタイミングで切りカスと一緒に炉に戻す。
(高い所から投入すると、鉛が跳ねて危険)

 複雑な型では、ゴム板に軽く叩きつけ、鉛が隅々まで回るようにするらしい。

 注ぎ口をカットするスプループレートを横から叩いて開き、余計な部分を落とす。
 鋳型をタオルの上で開き、弾頭を落とす。
 Leeドライブキーのように複雑な弾頭の場合、開いただけでは落ちない。
 鋳型そのものは叩かず、柄やヒンジを叩いて落とす。

 スプループレートを戻し、次の鋳造へ。
 鋳型の温度が冷えないよう、手返しよく鋳造していく。

 温度が上がりすぎたら、鉛を追加するか、温度設定の目盛りを下げる。
 温度を維持しつつ、一定量の鉛があるようにし、たまにゴミをすくうのは、地味に忙しい。


 途中で暗くなったので、ランタンをつけて作業。
 ランタンはオーム電機 30LEDランタン 200lm 2800円
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 一通りの鋳造作業が終わり、弾頭が冷えたら重さをチェックする。
 下に敷いてあるのは、Amazonの包装用紙。
 机の汚れを防ぎつつ、鉛筆で重さを分けるのにちょうどいい。
 変形していたり、軽すぎたり重過ぎるものは除き、次回の鋳造で溶かす。

 軽い不純物は浮かぶので、次回使う場合に備え、1インチ(約2.5cm)ほど鉛を残しておくと良いらしい。
 成分を変える場合など、ポット内を空にする時は、適当な器に出して、インゴットを作る。

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【鉛が出てこない場合】
 注ぎ口に中途半端に鉛がぶら下がっている場合、ラジオペンチで引っ張って取り除く。
 温度が低い場合、650°Fぐらいまで上げる。
 針金で下からつついてみる。

【鉛が止まらない場合】
 ゴミが噛んでいるかもしれないので、少し流してみる。
 ロッドをマイナスドライバで左右に回してみる。
 鋳型に鉛を注ぎこんだ後、しばらくレバーを下に押さえ、注ぎ口の鉛が固まるまで数秒待つ。
 機械的な改良としては、作動レバーのノブを重くするぐらいでしょうか。

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【使わなかった物】
 ロウソク、木屑
  不純物を取り除くフラックスとして使う予定だった。
  溶けた表面が鏡のようで、比較的不純物が無い鉛だったのと、燃やした時の匂いが気になったので使わなかった。

【あれば良かった物】
 カセットボンベのバーナー
  鉛の温度が下がると、注ぎ口が詰まる。
  設定温度を上げればいいが、注ぎ口が暖まるまで時間がかかる。
  ポット内は十分な温度だが、注ぎ口が冷えている場合もある。
  そんな時、バーナーで注ぎ口を軽く温めれば、作業が早く進んだのでは。

 やや太いクリップ
  注ぎ口が詰まった場合、針金でつつく。
  普通サイズのゼムクリップでは細く、柔らかいので使えない。
  直径1mm~1.2mmぐらいの頑丈な針金があると良い。
  全長33mmのクリップなら、直径1.0mm
  全長49mmのクリップなら、直径1.25mm
  注ぎ口の直径は約1.5mm

 小さい箒とチリトリ
  鉛追加時の跳ねや、弾頭を出す時など、細かい鉛が散らばる。
  チリトリは幅10~15cmぐらいの小さいもので、金属製が良い。
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【反省点】
・鉛の成分の統一
 ちょっと長くなったので、別記事にします。

・作業台の高さ
 一度スタートしたら、一気にやり通す。
 2時間ぐらい作業するので、膝が楽な姿勢でやるのが良い。
 グラつかず、重さに耐える机があるのが理想。

・鋳型ハンドルの滑り止め
 弾頭が固まるまで握っている必要があるので、握力を地味に使う。
 ニスで塗ってある丸い柄は、ちょっと滑りやすい。
 滑り止めのグリップテープを巻くか、手袋を工夫したい。

・Lee7/8oz鋳型の蓋(スプループレート)が緩む。
 作業終了後にネジロックを塗った。

・鋳型の汚れ
 ベビーパウダーなのか、以前のパテで型取りに失敗した名残りなのか、鋳型が汚れた。
 ウェットブラストの設備があるのなら、綺麗にしたいのだが…
 

【将来的な改良案】
 寒い時期に外気温に左右されないよう、ポットの外側に断熱材を巻く
 鉛の漏れを防ぐため、ノブをもうちょっと重くする
 PID制御

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