大阪の泉佐野市で行われた、河川へ金魚を放流して捕まえるイベントが、ネット上で話題になりました。
泉佐野市「犬鳴山納涼カーニバルの金魚放流」についてのつぶやきまとめ(1)
http://togetter.com/li/1000212
twitterやコメント欄の短文は、buzz(バズ)や言葉足りずになりがちに感じます。
そもそも、議論となる要素が多く、話が噛み合っていません。
深くは掘り下げませんが、様々な論点のポイントがあります。
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・外来生物の拡散リスク
ここで言う外来生物は、その地域にいなかった生物を、違う地域から導入するという意味で、海外からの輸入に限りません。
ブラックバスやマングースが有名ですが、北海道におけるカブトムシなども、地域レベルで考えると外来生物になります。
金魚は生態系的には被捕食者(食べられる側)になりがちですが、金魚や鯉が生態系に影響を及ぼしている例が海外であります。
地域個体群の遺伝子を撹乱するレベルの話では、ホタルやメダカの放流が、地域の遺伝子を乱しているという考えもあります。
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・病原菌の拡散
コイヘルペスウイルス、鮎の冷水病、レッドマウス病など、水産系の病気の拡散リスク。
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・教育面でのリスク
飼えなくなったものを野外に放すことを承認するという認識の広がり
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、ワニガメ、アメリカザリガニ、アリゲーターガー、熱帯魚など。
アライグマは全国的に農作物被害を与えています。
多摩川では熱帯魚などが見られることから、飼えなくなった魚を回収する「お魚ポスト」が設置されています。
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・生命倫理
命あるものを放して捕まえる娯楽に使うことの是非。
金魚すくいは日本文化と言えなくも無いが、川を使うことは?
魚の活け作りは海外で禁止されている国もあります。
人間に近しい親近感から、哺乳類>爬虫類>魚類という感情移入の度合いがあり、生命観のギャップがあります。
仮に金魚放流と同じようなイベントが、ハムスターや子犬で行われていたらどうでしょうか。
魚類とはいえ、元々そこにいない、馴染むとは限らない魚を、捕まえるために放流するのは問題ないのか。
何かを捕まえたり収穫する体験をしたいのであれば、別の方法があるはずでは。
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・河川の利用
クレーンゲームの商品に生き物を入れるのは非難されるが、金魚すくいは非難されにくい
川への放流が、一見、自然に近い環境というイメージを作っている。
流れている川は自然だが、飼育されてきた金魚にとって住みやすい環境とは限らない
全匹回収するようですが、それならプールでやってもいい。
川に近づく親水イベントであれば、河川に住む生き物を観察すればいいのであって、川をせき止めて金魚を放流しなくてもいいのでは。
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大阪以外でも、金魚の放流イベントは行われています。
今まで知らなかっただけで、意外とありがちなイベントなのかもしれません。
さいたま市飯能
http://hanno-tourism.com/
https://www.facebook.com/HannoKanko/photos/a.432915976783246.1073741828.432909380117239/1079015458839958/?type=3&theater
埼玉県日高市
http://www.hidakashikankou.gr.jp/event/#02
http://park.tachikawaonline.jp/news/festival/14644/
神戸市東灘区 住吉川親子水辺フェア
http://www.city.kobe.lg.jp/ward/kuyakusho/higashinada/oshirase/topix/event_naiyou.html
京都東山 白川子供夏まつりイベント
http://www.furukawacho.com/event/other/2011/08/108.html
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10数年前になりますが、とある町の河川放流イベントに参加したことがあります。
こちらも天然河川を網で囲ってのイベントでしたが、アマゴなどの渓流魚の放流でした。
そもそも放流して釣るための魚でしたので、金魚のケースとは意味が違いますし、漁港でのサケのつかみ取りに近い、収穫の意味合いが入っていたと思います。
お祭りで持って帰ってきた金魚を60cm水槽で買っていたら、5年以上生きたこともあります。
金魚を最後まで飼うのは、なかなか大変です。
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狩猟をしていると、色々な軋轢が生まれることもあります。
銃や動物の写真の扱いは難しいので、この論議を他山の石としたいです。
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狩猟について、長文で書くほど、自分の中では整理は出来ていません。
万人に勧める趣味ではないし、かといって無くなってよい技術でもない。
趣味に意義を求め、好き嫌いや倫理の筋を通そうとすると、何かしらの軋轢が生まれます。
例えばスポーツとしてサーキットで行うモータースポーツや、海でのジェットスキーにはあまり興味はありませんが、別に否定もしません。
登山も時々しますが、全然やらない人にとっては、何で好き好んで苦労して山に登るのか分からないかもしれない。
趣味でやっている人が、その楽しさを文章や写真、動画で表現していたら、単純に凄いとは思います。
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この問題の参考になりそうな本など
ネット炎上の研究
動物を守りたい君へ (岩波ジュニア新書)
映画 いのちの食べかた
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放流について紹介しましたが、具体的な電話等のアクションはしていません。
反対の立場の意見を書く人はいると思いますが、クレーマーとしてひとくくりにされるのも、おかしな話です。
日々色々なニュースが流れ、それぞれに反対賛成の意見がありますが、いちいち反応して電話はしません。
それぞれの意見をテレビ局・主催者・スポンサーに向けて発信すればいいだけであって、自分とは異なる意見の人にを叩いてどうなるものではないのでは。
選挙運動などにも言えますが、反対意見を叩くのではなく、自分の意見に賛同するような情報を発信すればいいと思います。
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SNSやTwitter、ブログのコメント欄などで、情報発信のハードルが下がりました。
マスメディア以外の情報発信の多様性が増えたのは良いと思いますが、ネット炎上や信憑性の怪しい情報が拡散するリスクも増えました。
話題の後乗りで他人のブログのコメント欄に情熱をもって書き込むぐらいなら、自分でブログを立ち上げればいいと思います。
記事が1つしかない匿名ブログであっても、ブログのコメント欄よりはしっかりとした主張に感じられます。
ということで、この案件についてのコメントは削除する可能性があります。
削除されるのを懸念するならば、自分の議論を展開する土俵を、自らが作ればいいのでは。
ブログのアカウントを新規作成するのは、3分もかからないと思います。
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