全日本鹿協会の発行している冊子(論文集)です。
縁があって読むことができました。
養鹿(ようろく)系の団体が基盤になっているようです。
2010年の段階では鹿の刺身についての言及があり、E型肝炎のリスクがあまり知られていない様子が伺えます。
他の学会にも言えますが、2年ほど経過したら、学会誌を公開してくれると、情報を得たい一般ユーザーは非常に助かります。
また、正会員以外の電子データのみのROM会員枠があると、参加しやすくなるのですが。
---------------------------------------
気になった部分をメモ
2号 日本鹿セーム革の消費性能に関する研究
セーム革の加工方法
水戻し→乳頭層および肉面の結締組織や脂肪層をフレッシングして除去→アルデヒド鞣し(または合成タンニン鞣し)→鱈油処理→揉み→脱脂洗浄→乾燥→漉き割り→両面バフィング
---------------------------------------
2号 鹿肉のインターネット販売の現状と課題
鹿の部位
肩ロース、背ロース、ロース、モモ、ブイレ、背肉、肩正肉、レッグ。
↑ブイレはフィレの事?ロースの違いなど、部位を調べなおしたい。
---------------------------------------
3号 スギ人工林下層植生の牧養力に関する研究
間伐率による下層植生の乾物量
33%間伐区で213.1±26.6g/m2、25%間伐区90.4±4.6g/m2、0%区38.9±5.4g/m2
↑間伐すると下草が増え、餌資源も増えるという例です。
---------------------------------------
2号 シイタケ廃菌床の地域的新飼料資源としての利用性に関する研究成果
木材廃菌床を反芻家畜用の飼料として利用する価値はあまり高くなく、粗飼料としての物理性にも期待できないことが示唆された。
3号 鹿に関する総合的研究
廃菌床はシイタケ収穫後に乾物消化率が著しく向上し、乾草と同等かそれ以上の消化性を示した。
エノキタケ廃菌床も24時間消化率が50%と高く、乾草と同等の消化性が示された
↑検査方法が違いますが、結局どっちなんだ感があります。
---------------------------------------
3号 モンゴル族の鹿肉および鹿の副産物の有効方法
鹿の内臓や肉の切り落としを炒めて食べる場合があれば、味噌、ニンニク、唐辛子、豆と一緒に煮込んで食べる場合が多い(モンゴル語で「鹿の味噌あえ」と呼ばれている。
「鹿の味噌あえ」は辛く作られ、一般的な漬物の感覚で食べられる場合があれば、手打ちうどんの調味料として使う場合も多い。
↑ジビエ料理というとフランス系が多いが、アジア系の料理方法も、もうちょっと研究・普及される余地がありそう。
---------------------------------------
4号 ワイルドライフレンジャーの取り組み
実際に忍び猟を行ってみると非常に高度な技術を必要とすることが分かった。
最新の痕跡を発見すること
その痕跡から追跡できること
いつ遭遇するか分からない緊張感と集中力の持続
どんな足場でも物音を立てない忍び足
発見後の有効射程までの位置取り
正確な射撃の技術
先に気づかれた場合の対応
複数頭いた場合の対応
そして何よりも大切なことは、どんな季節、どんな環境であっても、ニホンジカに出会うまで歩き続けられる体力、と忍び猟実践には挙げれば切りがないほど様々な技術が必要になる。
非常に警戒度の高いニホンジカが生息する地域では、歩く際の服の擦り切れ音、ペットボトル内の水の音ですら注意を払わなければならないという。
現場となる山の地形、対象とする野生動物の生態、行動様式の知識も含め、ただ免許所持しているというだけではなかなか難しい。
↑こういった技術を体系化、可視化したいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿