2018年6月12日火曜日

軽自動車の維持費と費用集め

 「東京大学狩人の会」という学生サークルが中古車を募集していました。
https://www.facebook.com/utokyohunters/posts/1530666613712030

 軽自動車(商用車)の維持費を考えてみます。
 3000 毎年4月の軽自動車税
 15000 オイル交換、タイヤなどの消耗品や整備費
 25000 車検など(2年おきに実施。その1年分)
 ここまでで、年間4万3千円
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 ガソリン代は1出動につき、約2000円
 東京から秩父、千葉県内などへ往復200km÷15km/L燃費×ガソリン単価150円/L
 50回出かけると年間10万円。
 プラス高速道路の料金など。
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 車を維持する上で問題なるのが、任意保険です。
 比較的安い、ソニー損保で見積もってみます。
https://www.sonysonpo.co.jp/auto/quote/
 スズキエブリィ2008年1月初回登録DA64V、1998年1月1日生まれ、年間9000km以下、緑色免許、運転手限定なし(年齢を問わない)、車両保険なしの場合、19万円もします。

 同じ条件で被保険者22歳、水色免許、運転する人が21歳以上なら、8.6万円。
 被保険者30歳、ゴールド免許、運転する人が21歳以上なら、7.7万円。
 事故率と保険料の関係で、若い人や免許を一度も更新していない人は高くなります。

 駐車場代もかかります。
 月2万円でも、年間24万円。
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 中古車の価格を見てみます。
 軽1BOXのスズキ・エブリィ 
https://www.goo-net.com/usedcar/brand-SUZUKI/car-EVERY/
 上限30万円でも470件あります。
 上限15万円で95件。

 ボディタイプ別 軽トラック・軽バン
https://www.goo-net.com/php/search/bodytype_search.php
 10万円以下で229件あります。

 こうして考えていくと、車の価格以上に、維持費が掛かるのが分かると思います。

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 自分が車募集の記事に違和感を感じた点を挙げます。

(1)団体の目指す方向が分かりにくい
 Facebook,Twitterで情報発信をしていますが、理念や活動方針が分かりにくいです。
 Facebookのトップに固定されている記事があります
 それだけ読むと「頑張れよ」としか思いません。

 学生の部活やサークルは数多くあるわけで、外部から資金援助を求めるには、もうちょっと情報が欲しい。

 学生サークルとしての活動なら内輪ですが、外部に援助を求めた時点で、社会に開かれています。
 一般社会の基準で考えると、 サークルの規模、予算、活動内容、活動回数など、組織の情報が足りません。


(2)自ら資金を集める姿勢があるか
 部活は部員から部費を集めたり、学生会などからの交付で運営していると思います。
 そこを超える予算の場合、部員がアルバイトしたり、何らかを売って足しにしているのでは。

 まったくの想像ですが、東大生であれば、時給の高い家庭教師のアルバイトなどは引く手数多なのでは。

 そういった資金集めをしている様子が見えてきません。
 熱意があり、努力をしたが足りないのであれば、協力しようという気にもなりますが、そこが見えてこなければ、共感を得にくいです。


(3)自動車を維持できるのか
 資金的に不安定であれば、その後、車を維持できるのか怪しく感じてしまいます。
 上に書いたような経費が毎年かかるので、それなら安いレンタカーでもいいのでは。
https://guts-rentacar.com/price/#class_ab
 安いレンタカーなら、軽商用であれば、24時間3200円というプランもあります。


(4)今現在の伝手(つて)で何とかならないか
 学生同士や学校間、猟師工房や猟場など、色々な繋がりがあると思います。
 農林系の学部なら演習林などもあるでしょう。
 ある意味、会社員より人脈は多いわけで、そういった伝手で車を調達できないのか。


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 全くの個人的な意見ですが、今の情報を見た限り、市場価値30万円の車を無料であげるという気にはなりません。

 「ゴルフを始めたのですが、移動のために車が欲しいです」と資金を募っても、なかなか集まらないでしょう。

 「これから狩猟をしたいので、銃とガンロッカーなどの費用40万円を募集します」というクラウドファンディングがありました。
https://camp-fire.jp/projects/view/59826
 これは、うまく集まらなかったようです。

 狩猟という物珍しさが加味されても、趣味の1つにすぎませんし、既にやっている人は自己資金で何とかしています。

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 では、どんな要素が加われば、直接的に援助したくなるのか

(1)実行主体のキャラクターが魅力的
 例えばアイドルであれば、「運転免許が欲しいので資金援助してください」ぐらいの企画でも援助が集まるかもしれません。
 生み出す作品が人を惹きつけるアーティストなども同じ。
 どんな活動をしているかが気になるような、魅力的なキャラクターであれば、内容を底上げする可能性があります。


(2)社会的な意義がある
 飢饉や被災地援助など、募金活動を通じて、間接的に何かをなし得るタイプ。
 社会的な意義があれば、資金は集めやすい。

 こちらの例では、資金募集に成功しています。
 嬉野狩部の挑戦!獣害被害から守るためにIoTカメラを設置しクラウドハンターを募集
https://www.makuake.com/project/ureshinokaribu/

 いつも行っているフィールドの有害鳥獣駆除に参加すれば、獣害に困っている地域の対策に協力しているというイメージも付きますし、わずかながらでも報奨金が得られるかもしれません。
 猟期外でも解体などができれば、活動の幅が広がるのでは。



(3)追体験・共有できる
 やってみた系の動画や、探訪系であれば、読者や視聴者が自分でもやった気になれますので、閲覧料・疑似体験料として払いやすい。
 臨場感や一緒にレベルが上がっていく感覚を得られるか。
 「今日は鹿を解体しました」という写真数枚と短い文章ぐらいでは、今となってはありきたりの情報なので、微妙かもしれません。
 その活動で参加者が何を感じ、どんな技術知識を取得したのか、成長する過程が知りたい。


(4)新しい情報がある
 今まで知らなかった情報であれば、お金を払う価値があるのかもしれません。
 ネットの普及により情報の価値は相対的に下がっているので、「お金を払う価値のある情報提供」というのは、難しくなってきています。
 狩猟分野に対し、情報や技術を公開していく姿勢があれば、協力する人が現れるかもしれません。
 これから狩猟を始める人にとって、分かりやすい情報であれば、価値があります。
 (3)と繋がりますが、資金提供によって新たな場所に行き、それをコンテンツとして公開するというサイクルならば、投げ銭したくなります。

 岐阜の猪鹿庁では会員制サロンという仕組みで、情報や機会を有料で提供しています。
https://lounge.dmm.com/detail/1042/
 この仕組みがうまくいくかは分かりませんが、1つの方法です。

 こちらの方は低温料理などの情報を発信しており、資金を募集しています。
https://twitter.com/fish_and_Nicks


(5)夢に共感できる
 北海道にガンロッカーのある民宿を開きたいというクラウドファンディングは、目標額に達しました。
https://readyfor.jp/projects/hokkaido-ashoro-localwork
 新天地での夢を応援したいという点に加え、ちょうど良い御礼品の設定なども、結果に結びついたのでは。
 学生が狩猟をすることで、何を得て、何を伝えられるのか。
 他人を共感させられるものがなければ、他人から何かを得るのは難しいです。


(6)実利がある
 角を使ったクラフトや解体、狩猟肉BBQと狩猟の話のセットなど、お金を出して体験したいというものを提供し、対価を得る。
 狩猟をしている人には当たり前でも、都会に住む人にとっては馴染みの無い物やイベントがあるはずです。
 都会で学生をしているのは、猟場から遠いというデメリットもありますが、価値観が違う場所へ、情報や物を運べるというメリットもあります。

 学園祭で猟師工房から仕入れたらしき角や骨を売っています。
 この延長線上で、狩猟グッズを売ったり、クラウドファンディングの御礼品にして、資金を集めてみては。
 田舎ではその辺に落ちている角や苔であっても、都会では価値が生まれるかもしれません。
 車が欲しいというより、「余っている角はありませんか」と猟師の呼びかけ、集めた角を売って資金にしたほうが可能性がありそう。

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 厳しい言い方をすると、資金不足で困るようであれば、お金を稼ぐか、規模を縮小すればいい。
 活動規模が大きすぎたのでは。

 ネットが普及した社会では、情報発信のコストは、ほぼ無料です。
 5分あれば無料でブログが作れます。

 FacebookとTwitterだけではなく、ブログやホームページ、Youtubeなどにコンテンツを投稿し、広告を設定すれば、収益が得られる可能性もあります。
 狩猟や解体の動画をYoutubeに上げれば、何十万再生され数万円稼げるかもしれません。

 車の講習資金や、維持費を賄える金額ではありませんが、自ら動かなければ何も生まれません。
 他人からの寄付をあてにするより、自ら稼ぐほうが、確実性はあります。


 狩猟に対する想いがあるのなら、まずは文章を書き、広告収入が得られる場所で公開してみては。
 かかるのは手間と時間だけです。

 逆に言うのならば、その程度の手間と時間をかけないで、他人から資金を得ようというのは、ちょっと甘いような気もします。

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 言い古されたネタですし、誤用もあるかもしれませんが、「好きの反対は嫌いではなく、無関心」という言葉があります。
 批判はノイジーではありますが、反応の1つです。
 アクションに対して、無反応・無関心なほうが、情報発信側としては恐ろしいと思います。

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