2015年1月31日土曜日

猟銃のカバーはどこまですれば良いのか

 気になったので調べてみた。

 狩猟読本(平成22年版)の197ページにはこう書いてある。
携帯・運搬の制限
2)銃器を携帯、運搬する場合は、銃器を露出させないように、銃カバーなどを掛けなければいけない。
※公道、休猟区、鳥獣保護区、銃猟禁止区域など、銃猟が禁止されている場所を通行する場合は、狩猟をしていると誤解されるおそれがあるので、銃カバーを掛けること。

 ざっくり調べたが、法的な根拠はこれらしい。
--------------------------------
銃砲刀剣類所持等取締法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33HO006.html
(所持の態様についての制限)
第十条
4  第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、当該許可を受けた銃砲を携帯し、又は運搬する場合においては、第二項各号のいずれかに該当する場合を除き、当該銃砲におおいをかぶせ、又は当該銃砲を容器に入れなければならない。
--------------------------------
 ここで言う第二項各号

2  第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、当該許可を受けた銃砲を発射してはならない。

一  第四条第一項第一号の規定により狩猟又は有害鳥獣駆除(政令で定めるものを除く。)の用途に供するため猟銃又は空気銃の所持の許可を受けた者が、当該用途に供するため、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の規定により銃猟をする場合

 ただし、許可に係る銃砲がライフル銃である場合において、事業に対する被害を防止するため当該ライフル銃の所持の許可を受けた者にあつては、当該事業に対する被害を防止するために獣類の捕獲をする必要がある場合に限る。

二  第四条第一項第一号の規定による猟銃若しくは空気銃の所持の許可を受けた者又は同項第四号若しくは第六条の規定による銃砲の所持の許可を受けた者が、指定射撃場、教習射撃場又は練習射撃場において、その指定射撃場、教習射撃場又は練習射撃場の指定に係る種類の銃砲で射撃をする場合

三  第四条の規定による銃砲の所持の許可を受けた者(前二号に規定する者を除く。)が、当該許可に係る用途に供するため使用する場合

--------------------------------
 要するに「当該用途に供するため、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の規定により銃猟をする場合」以外は、覆いを被せるか、容器に入れなければならない。

--------------------------------
 「銃猟をする場合」は、どこからどこまでを指すのか。
 常識的に考えて車で公道を移動している間は「銃猟をする場合」では無いだろう。
 山奥の斜面を歩いている場合は、「銃猟をする場合」だろう。

 では、山の中の林道を横切って移動する場合は?
 ここで「公道」の定義が問題になってくる

--------------------------------
 「公道」に関しては別の法律が根拠になってくる。
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO088.html
(狩猟鳥獣の捕獲等)
第十一条  
 次に掲げる場合には、第九条第一項の規定にかかわらず、第二十八条第一項に規定する鳥獣保護区、第三十四条第一項に規定する休猟区(第十四条第一項の規定により指定された区域がある場合は、その区域を除く。)その他生態系の保護又は住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域以外の区域(以下「狩猟可能区域」という。)において、狩猟期間(次項の規定により限定されている場合はその期間とし、第十四条第二項の規定により延長されている場合はその期間とする。)内に限り、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、狩猟鳥獣(第十四条第一項の規定により指定された区域においてはその区域に係る特定鳥獣に限り、同条第二項の規定により延長された期間においてはその延長の期間に係る特定鳥獣に限る。)の捕獲等をすることができる。

--------------------------------
 法律文章で読みづらいが、規制区域以外なら狩猟期間に狩猟鳥獣を捕獲することができる、ということ。
 では「住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域」はどこか。
--------------------------------
 これについては、鳥獣保護法の施行規則に書かれている。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14F18001000028.html

(生態系の保護又は住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域)
第八条  法第十一条第一項の環境省令で定める区域は、前条第一項第七号ハからチまでに掲げる区域とする。

前条は7条になる。
(捕獲等又は採取等の許可の申請等)
第七条 
 次に掲げる場所、特定猟具使用禁止区域、特定猟具使用制限区域又は猟区内において捕獲等又は採取等をしようとする場合にあっては、その旨
イ 鳥獣保護区
ロ 休猟区
ハ 公道
ニ 自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号)第二十一条第一項 の特別保護地区
ホ 都市計画法 (昭和四十三年法律第百号)第四条第六項 の都市計画施設である公共空地その他公衆慰楽の目的で設けた園地であって、囲い又は標識によりその区域を明示したもの
ヘ 自然環境保全法 (昭和四十七年法律第八十五号)第十四条第一項 の原生自然環境保全地域
ト 社寺境内
チ 墓地
--------------------------------
 ここに定義する「生態系の保護又は住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域」以外の区域が、「狩猟可能区域」となる。
--------------------------------
 公道(住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域)で銃猟をすると、銃刀法の第十条の四第一項に引っかかり、第三十五条により二十万円以下の罰金となる。

--------------------------------
 鳥獣保護法の罰則規定
第八十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

二  狩猟可能区域以外の区域において、又は狩猟期間(第十一条第二項の規定により限定されている場合はその期間とし、第十四条第二項の規定により延長されている場合はその期間とする。)外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をした者(第九条第一項の許可を受けた者及び第十三条第一項の規定により捕獲等をした者を除く。)

 これに関しては、~以外の区域において「捕獲等をした者」とあるので、銃を剥き出しで持っているだけでは引っかからないと思う。
 「等」という部分が、法律としては曖昧でちょっと怖いけど。
 鳥獣保護法より銃刀法に引っかかる。
--------------------------------
 林道=公道と警察が解釈するならば、公道(狩猟可能区域ではない)で「銃猟をする場合」の状態でいたら、違反になるということ。

 銃砲刀剣類所持等取締法 第十条の4の「銃砲におおいをかぶせ」ていればOK。

 どの程度の覆いならOKなのか、どこまでが公道や住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域なのかなど、法的解釈については、お近くの警察署で確認してみてください。

 山の中の林道であっても、銃猟中ではなく移動中だろ、と突っ込まれると、一発で違反になりえる。
 銃を撃つ時以外には、ガンソックスなりのカバーをかけておけば、文句は言われない、という事でいいのかな。
(注:これを書いた時点では管理人は猟銃所持をしていませんので、解釈が間違っているかもしれません。)

0 件のコメント:

コメントを投稿